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本当の「輝き」とは?ラブライブ!サンシャイン‼二期感想

本当の「輝き」とは?ラブライブ!サンシャイン‼二期感想

これは現実的で、そして敗者たちの物語である

 

 

「輝く」とは、ラブライブ!サンシャイン‼の中で一貫して言われてきたテーマであり、物語も千歌がµ’sに触れ自分もあんな風に輝きたいと願ってスタートした。しかし、それが明確にどういうことを意味するのかキャラの断定以外で途中語られることはない。

 

メンバーを集め、スクールアイドルAqoursとしての物語を紡ぐためのプロローグであった1期。2期では、そんな1期の目的、(真の目的は輝くことだが)浦の星女学院の廃校が決まるところからスタートする。7話まではこの廃校阻止を覆すため入学希望者を増やすことを軸に、1期では描き切れなかった個人や関係にスポットを当てた物語が展開される。

元々廃校を阻止するために始まったわけではなく、「輝く」という思いが根底にありながらも目標が廃校阻止という見えるものにすり替わっていたAqours。都心にある音ノ木坂と地方の浦の星、どうしても人数は少なく、スクールアイドルAqoursが有名になるのと入学希望者が大幅に増えるのは別問題。7話では完全に廃校が確定し、輝き、μ'sに憧れて動き出した物語が(途中から目的と手段が変わっているのは置いておいて)真逆の方向に進むという熱い展開で、これはAqoursだけの物語であると改めて認識させられた。

さて、ここで「輝く」という真の目的に戻ってくる。見える目的を失った彼女たちは、他の生徒の気持ちを乗せて「浦の星女学院スクールアイドルAqours」として浦の星の名前を残すことで輝くと決意する。廃校が確定した学校のスクールアイドルが最後に名前を、軌跡を刻みに行くのが格好良い。µ’sもスポコンだったけどサンシャイン‼は完全に少年漫画的な面白さがあると思う。廃校が確定した中でどう輝くのか?この後の話はラブライブ!二期や映画と重なり、卒業に加え廃校というタイムリミット、限られた時間の中で輝くスクールアイドルをまさに表していると言えるだろう。その後、Aqoursは見事ラブライブ!優勝を果たし、浦の星女学院は閉校する。3年生の進路は明らかになるが、Aqoursの今後について語られることはない。

閉校後、いまだ明確な「輝き」が何なのか掴めない千歌は浦女へ向かい、構内を巡りAqoursとして駆け抜けた記憶を辿る。何かに夢中になりたくて、でも何をやっていいかわからなかった千歌に訪れた出会い。輝きを求めて駆け抜けた日々の自分たちこそ、「輝き」を体現していたことに気づくのだ。

 

日常アニメというジャンルはここ10年で大きく人気を博している。好む理由は人それぞれだが、大好きなキャラクターたちの当たり前の日常・青春を尊み、ずっと眺めていたい心地よさがあるからという人も多いのではないだろうか。ラブライブ!サンシャイン‼二期は、そんな''青春している当時はそれを青春と気づかない''当たり前の日常の尊さを大人になって知る''といった見る側が青春・日常アニメを楽しむ時の視点と同じものに、千歌ちゃんが気づく物語だった。がむしゃらに目標に向かって仲間と駆け抜けた日々こそが輝き。ずっと曖昧ながら目指していた「輝き」が、本当はその目指す過程自体だったと気づくのもまた成長であり、それだけかけがえのない瞬間を過ごしてきたからこそのものだろう。

 

また、ラブライブ!らしいぶっとんだ展開もあったものの底には常に現実という血が流れていた。地方の問題として人の減少は簡単に覆せるものではない。だからこそ、地域活性化を行うご当地アイドルとしての側面が大きい今のAqoursがあり、二期は特にそれを活かした展開だった。サンシャイン‼が好きな人は『普通の女子高生が【ろこどる】やってみた。』や『アクションヒロイン チアフルーツ』をぜひ見てほしい。地方の活性化に取り組むアニメと通じるところがたくさんある。

敗れたSaint Snowを中心に姉妹、卒業、成長を絡めながら描かれた8、9話では、全国に学校や友人、家族の想いを乗せたスクールアイドルがいて、各々に物語があること。敗者たちの上に優勝が成り立つことを実感させてくれたのが良かった。ラブライブ!サンシャイン‼つくづく敗者たちの物語だと思う。廃校を救えなかったAqoursも、決勝に進めなかったSaint Snowも、その他敗れていったスクールアイドル達も。みんなそれぞれの物語がある。敗れた上でどう輝くか、ラブライブ!としていくらでも作品展開ができると改めて感じさせられた。

 

 

長くなった。

サンシャイン‼では、Aqoursという一つのスクールアイドルを描き、私たちは「輝き」を目撃した。ラブライブ!の世界では今日も全国でスクールアイドルが活躍し、人気を博していることだろう。きっとどこかに私と同じようにAqoursに魅せられ、羽を受け取ったスクールアイドルの卵もいて、それをきっかけにして穂乃果や千歌のように、日々を輝かしていくのだ。

ラブライブ!というコンテンツが好きでよかった~って思った、そんな二期でした。終わり。

 

 

 

 

サークルの新歓冊子に寄稿したアニメ『ラブライブ!サンシャイン‼』二期の感想です。深夜テンションで書いた恥ずかしい文章ですが投げときます。